横浜地方裁判所 昭和５７年（わ）２３５５号 判決 1983年1月25日
本店所在地
横浜市金沢区鳥浜町一番一
商号
横浜海洋水産株式会社
代表者
関沢継洋
代表者住居
横浜市金沢区富岡町五三七番地二九
本籍
神奈川県三浦郡葉山町長柄一六〇一番地の二〇八
住居
右同
会社役員
泉國明
昭和一九年一二月一四日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官青木幹治出席のうえ審理して、次のとおり判決する。
主文
被告会社横浜海洋水産株式会社を罰金二、五〇〇万円に、被告人泉國明を懲役一年二月に各処する。
被告人泉國明に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
（罪となるべき事実）
被告会社横浜海洋水産株式会社は、横浜市金沢区鳥浜町一番一に本店を置き、水産物の卸売等を目的とする株式会社であり、被告人泉國明は、同会社専務取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人泉國明は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の仕入を計上し、これによって得た資金を簿外現金にする等の不正な方法により所得を秘匿した上、昭和五五年八月一日から同五六年七月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が二億四、二五四万一、五二〇円で、これに対する法人税額が一億七八万四〇〇円であるのにもかかわらず、昭和五六年九月三〇日、同市南区南太田町二丁目一二四番一号所在の所轄横浜南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、二七六万二、三八八円で、これに対する法人税額が八四八万三、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税九、二二九万七、〇〇〇円を免れたものである。
（証拠の標目）
一 被告人泉國明の当公判廷における供述
一 被告人泉國明の大蔵事務官に対する質問てん末書一六通
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書、法人税額計算書、脱税額計算説明資料（損益計算書、貸借対照表とも）
一 椎原正浩の金銭貸借等の照会に対する回答
一 蒲修之輔、松田昭洋、関郁夫、小松茂、平兼武、永田嘉徳（六通）、桜井多計志、加藤義隆、矢野恭久、大塚久雄、若月繁、多田五郎、原稔、神戸貞治、鶴田一郎、門松正、森幸男、椎野八郎作成の各取引内容照会に対する回答
一 大蔵事務官作成の売上調査書、仕入調査書（二通）、手数料調査書、支払口銭料調査書、雑費調査書、受取利息調査書、株式売買益調査書、受取配当金調査書、事業税調査書、買掛金調査書（二通）、預金調査書、貸付金調査書（二通）、株式調査書、出資金調査書、買掛金調査書（二通）、預り金調査書、期首商品たな卸高調査書、雑収入調査書、価格変動準備金調査書
一 関沢継洋（二通）、世良誠（二通）、山本高久（二通）、管井猛、名塚勝利（二通）、浅野秀夫、石井幸雄、木野幸博、菅野顕義、石井正敏、植木清茂（二通）、丸山勉（二通）、安部泰代、勝海花子、藤原正治、倉石太吉、早川和雄、泉トミ子の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 被告会社の登記簿謄本
（法令の適用）
一 適条
被告会社横浜海洋水産株式会社につき
法人税法一六四条一項、一五九条
被告人泉國明につき
同法一五九条、七四条一項二号（懲役刑選択）
二 被告人泉國明につき刑の執行猶予
刑法二五条一項
（裁判官 朝岡智幸）